“越後のミケランジェロ”石川雲蝶も眠る法華宗総本山の大寺院に、平成年代に復元された現代の日本庭園“三軌苑”。伽藍は国登録有形文化財。
本成寺庭園“三軌苑”について
「長久山 本成寺」(ほんじょうじ)は新潟県三条市にある法華宗の総本山の寺院。本堂・客殿・大書院・庫裏・表玄関の5棟が国登録有形文化財、三門(赤門)が新潟県指定有形文化財、黒門・鐘楼・千仏堂・多宝堂が三条市指定文化財。平成年代に復元された“三軌苑”という日本庭園があります。
2021年秋に初めて新潟・三条市で途中下車。目的は先に紹介した『旧堤邸庭園』とこちらのお寺。旧堤邸庭園のある三条市の中心市街地からは南西へ徒歩20分ほど。そちらにある真宗大谷派三条別院も大きいけれど、こちらも10の塔頭寺院のある大寺院だった!
その歴史について。日蓮宗開祖・日蓮聖人の孫弟子にあたる日印聖人により鎌倉時代の1297年(永仁5年)に創建。日印は当時の三条の領主・山吉定明、山吉長久の父子にも信仰され、1313年(正和2年)に2人の寄進によって伽藍が整備されました。
その教えは新潟に留まらず、勉学のため京都に上った日陣聖人が後奈良天皇に帰依されたのをはじめ、上杉家・長尾家など各武将にも信仰され、現在まで残る大寺院の礎を築きました。
そんな名刹も各年代に火災の被害に遭い、国登文の本堂・客殿・大書院・庫裏・表玄関は明治時代の大火の後に再建された近代の建築。また幕末~近代に活躍し“越後のミケランジェロ”とも称される彫刻家・石川雲蝶ゆかりの寺院でもあり、石川雲蝶の作品や墓所も残されています。
客殿の奥に池泉回遊式庭園“三軌苑”があります。かつて本成寺に存在していた庭園を平成年代に復元した現代の庭園で、復元には地元・新潟のホームセンター大手、コメリも援助。
訪れた時は残念ながら冬支度のために水が抜かれた直後…(ちょうど紅葉が綺麗な時期だったかと思いきや)。毎年春には野点や音楽の演奏を楽しむ“三軌苑 春の宴”が開催されるそう。(ちょうど紹介している今頃かな。)
門前にある塔頭『久成院』にも苔の美しい前庭があります。本成寺が総本山の“法華宗陣門流”の寺院はこの一帯以外ではそんなに多い訳じゃないけど、小堀遠州の作と伝わる庭園の残る静岡の『本興寺』も陣門流の本山。
燕三条で降りることがあったら、三条市の名刹にもぜひ立ち寄ってみて。
(2021年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR信越本線 三条駅より徒歩17分
JR弥彦線 北三条駅より徒歩20分強
JR東三条駅より路線バス「本成寺黒門」バス停下車すぐ(*平日の朝のみ)
〒955-0845 新潟県三条市西本成寺1丁目1-20 MAP